「まちライブラリー」タグアーカイブ

今一番通いたいノマドスポット「まちライブラリー」

image

先日、大阪の「もりのみやキューズモール」内にある「まちライブラリー」に立ち寄ってみたら、あまりにも居心地がよく、近所にあった絶対に通いたい!、と思ったので、どうしても書き留めておきたい。

まちライブラリーとは

「まちライブラリー」というのは・・・。

「まちのカフェやギャラリー、オフィスや住宅、お寺や病院などの一角に共通の本棚を置き、そこにメッセージ付の「本」を持ち寄り、交換しながら「人」の縁をつむいでいく活動。」

まちライブラリー公式サイトより引用。

簡単に言うとみんなで本を持ち寄る形の私設図書館。

特に、まちライブラリー@もりのみやキューズモール

このような「まちライブラリー」って、全国100ヶ所以上展開されていて、私が住む京都にも何箇所かあって存在は以前から知っていた。
いわゆる、「持ち寄り型の図書館」「本をシェアする場所」というイメージのみがあった。

しかし、この森ノ宮(大阪)にある「まちライブラリー」の雰囲気は、イメージしていたものとかなり違った。

「持ち寄り型の図書館」というシェアリングエコノミー型の新しいカルチャーを展開しつつも、カフェやシェアオフィスのような従来のビジネスを上手に融合させて、本当の意味でのサードプレイスを作り出していた。

(サードプレイス:自宅・会社だけではなく、それに次ぐ第三の居場所)

今までのノマド経験の中で、現時点で最も「通いたい。」と思った場所かもしれない。

まちライブラリー@もりのみやキューズモールを敢えて文章で説明してみるとこんな感じかな?

「カフェといえばカフェだけど、みんなで本持ち寄ったみんなの手で作った図書館でもあって、さらにFM COCORO(FM802の姉妹局)のスタジオ兼DJブースでもあり、そして近隣住民の憩いの場。」

カフェでコーヒーを注文してスタバ的な利用もできるし、本を借りてその場で読むという図書館という利用方法もある、利用方法に特に制限があるわけでもなく、PCを開いて作業をしコワーキングスペースやシェアオフィス的な使い方もできる。

丸めたシェアリングエコノミーは心地よい

ちなみに、AirBnBやUberのように、住居や車を「所有するのではなく共有する」という新しい経済を「シェアリングエコノミー」と呼ばれる。

他にも、モノを「所有から共有へ」と変化させるビジネスの発生事例はいくらでもあって、自宅や店舗の空いている駐車スペースを個人同士で貸し借りするakippa(あきっぱ)の駐車スペース登録数(日本全国)は、駐車場ビジネス最王手のTimesに次ぐ二番目の車庫数にまでなってきている。

こういった、「シェアリングエコノミー」って、知っている人やその価値観を分かっている人には「もはや当たり前」「日常」くらいになっていて、「モノを所有するのではなくシェアする」という文化に何の抵抗感もない。

その反面、そのような文化を全然知らないし、全く触れない方も非常に多く(というか、まだそちらのほうが圧倒的に多勢)、やはり、「モノは買うもの」「所有するもの」という価値観もまだまだ根強く残っている。

20年前だと、シェア文化はほとんど無かったので、みんながみんな「モノは所有」という価値観で満場一致していたけれど、今はとても不思議な時代で、所有という価値観とシェアという価値観で生きる人達が同時に存在し、綺麗に棲み分けられていたりする。

そんな中で、まだまだ大多数である「所有文化」の人たちが、いきなりそのシェアリングエコノミーな価値観を突きつけられてもなかなか理解できないわけで。(特に世代差も大きい)

その点、森ノ宮の「まちライブラリー」は、カフェという従来的なビジネスに、まちライブラリーというシェアリングエコノミーの文化を上手に融合させて、「誰にでも理解できる形」で展開しているから、「本当の意味で幅広い人」に受け入れられる場所づくりに成功している点にものすごい居心地の良さと多様性を感じた。

スタートアップ系のコワーキングスペースのように意識高い人ばかりが集まるわけでもなく、デザインイベントのようにクリエイターがばかりが集まるわけでもなく、スタバのように若い人ばかりが集まるわけでもなく、高齢者から子供まで、老若男女が集まって、住民のサードプレイスとして機能しているところは非常に素晴らしい。

お母さんと子供が図書館の絵本を広げて読み聞かせしている隣で、Macを開いて何かしら設計っぽい作業している若者がいたり、FM COCOROの生DJをのんびりと聞いているお父さん、その後ろで、Xcodeを開いている方。隣の見知らぬ若い女性に話しかけている老夫婦。

コミュニケーション、コラボレーション、コインシデンス、オフィス、ライブラリー、カフェ、様々な機能を持ちつつも利用者を混乱させることなく、自由に利用できるムードを作り出すことに成功している森ノ宮のまちライブラリーは、これからの空間運営のお手本となるものだと思った。

「尖らせて牽引する」のもいいけれど、「あえて丸めて浸透させる」という方法論、すばらしい。

今後はこういう融合型スペースが増える

アメリカのポートランドでは、「コインランドリー」なんだけどコーヒーやアルコールを販売していて、市民の憩いの場かつコミュニティーとして機能しているという記事は有名。

image

コーヒーやクラフトビールが飲める ポートランドの「コインランドリー」は人々が集まるコミュニティの場だった

キーワードはコミュニケーションとコミュニティ。

今後、日本も世代交代が進む中で、所有エコノミーから共有エコノミー(シェアリングエコノミー)な価値観へとどんどん転換していくと思う。

そういう中では、スペースはモノやサービスを提供するだけでなくコミュニケーションの提供が大きな価値となっていくのは既定路線じゃないかな。

スタンダードブックストアや蔦屋書店も、多機能化している事例との一つだろうけど、今後はさらにコミュニティを構成するための機能の追加がされていくのだと思う。

きっと良い意味での古きよき日本のご近所付き合いが、これから新しい形で蘇っていくのだろう。

ちなみに、今後のカギを握るシェアリングエコノミーを知るには以下の書籍はかなり参考になります。(是非Amazonレビューも読んでみてください。)

限界費用ゼロ社会―「モノのインターネット」と共有型経済の台頭

※TOP写真引用

蔵書ゼロから4000冊に 買い物ついで寄れる私設図書館人気 大阪・森ノ宮:産経ウエスト

このエントリーをはてなブックマークに追加