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DaiGoの「人を操る禁断の文章術」を読んだが・・・。

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TVなどのマスコミでは超有名人「メンタリストDaiGo(ダイゴ)」さんの「人を操る禁断の文章術」を読んだから概要を記録。

というか、この本に関しては、概要を書くとそれが中身の全てとも言えるかも?
もしかしたら、このブログを読んだらもうこの書籍を買う必要はないかもしれない・・・。

普段は、1ページが中々進まない上に分厚い「ソフトウェア開発系技術書」ばかり読んでるので、たまには「サクサク」「楽に」読めるビジネス書でも読みたい衝動に駆られて書店で手にとった。

こういうビジネス書は、社会に出たばかりの新卒さんや学生さんなどがありがたがって読むわけだけど、30歳を超えて喜んで読んでいたら少し気恥ずかしさがあったりする。(よね?)
けれども、それ以上に「楽な活字消費意欲」に負けて買った・・・。

読み終えてのこの書籍に対する大まかな感想は、「やはり若い子が自己啓発感覚で読むレベルの本、もしくは、相当文章が書けないか共感力が足りない人が読む本であって、それなりの分かっている大人が読んでも得るものはほとんどないものだったな」と。

しかし、買って読んでしまった以上は、せめて何かひとつくらい気づきを得て、「買った自分の自己正当化」はしたい。
また、フレッシュな会社員や学生さんなどには多少なりとも響く内容はあるかもしれない。(めちゃくちゃ文章が苦手な人にも)

ということで、いつも通り、本書の概要をまとめておこうと思う。

まえがき

情報商材のランディングページなどにありがちな感じで、「思い通りの文章を書いて、思いのままに人の心を動かそう。(本書を読めばその秘密が明らかに!)」という感じで幕をあける。

まえがきを読んで、「おおおーーー!すぐ読みたい!」となるのか、「はいはい・・・。」となるかで、自分の成熟度と冷静さがある程度分かるかもしれないかな。(別にどっちが良いとか悪いじゃなくて)

でも、まえがきからひとつ良いこと書いてた。
(たぶん、これが本書を買わせる手法の一つ、笑)

文章はただ書くのではなく、読んだ相手の心を動かし、想像力を使ってもらうために書くのです。

人を動かす文章を書きたければ、「読み手の想像力を掻き立てる書き方をしなさい。」ってこと。
そうだな・・・例えば、英語教材を販売するためのキャッチを書くとして。
「英語をマスターしよう!」と呼びかけるのではなく、
英語ができたら何がしたいですか?」と問いかけるわけ。

そしたら、それを読んだ相手は、英語ができる自分を勝手に想像して色々と考えはじめてくれるわけ、そうすると自分から勝手に購入意欲を作ってくれる。というマジック。

第1章

「人の心を動かす文章をかけたら、人生の色々なところで役に立ちます。文章のもつ力は偉大だ。」

そして、繰り返し、相手の想像力を掻き立てる文章を書くように提言。
一例として、文章の中に具体的な数字を紛れ込ませることで、文章がよりリアリティーあるものになり想像力を掻き立てる力を持つ。

「2週間で英語がペラペラ」とか「2ヶ月でプログラミングをマスター」とかそんな感じ。

以上。

第2章

メンタリズム文章術・3原則

あれこれ書かない
あえて文章の情報量を減らすことで読み手の想像力を掻き立てる。
ワンメッセージ・ワンアウトカムの原則
(というと聞こえはいいけど、文章指南でよく言われる「ダラダラ書かない」「文章自体の目的を明確に」という基礎的な話)

きれいに書かない
お利口さんな文章では伝わらない、美文は要らない、相手の気持ちを揺さぶる文章を。
(というとかっこいいけど、要は「話しかけるように書く」という結論)

自分で書かない
自分で書かない!ってどういうこと?気になる!よね?
要は、自分のことではなく、相手の趣味趣向を熟知して相手が好む文章を書けってこと。
(というと「なるほど」と思うかもしれないが、相手の趣味趣向を知るためにフェイスブックやTwitterなどで相手の情報を事前に調査するというネットストーカー的な話)

第3章

人を動かすための7つのトリガー

1.興味
まずは、文章の読み手の興味を探る。
(相手のメールやSNSをチェック・・・)

2.本音と建前
たてまえとホンネの両方を使って文章を書く。
ホンネや理想を正面から言わない。
人は、建前で動いている場合が多いので、まずはタテマエに共感して相手のATフィールドを解いてから、その後に理想(ホンネ)をぶっこめ。

3.悩み
悩みを突く文章は、相手に突き刺さる。(結構知られてる。)
悩みは年齢ごとに違う、例えば、20歳の人は健康に関する悩みは少ないかもしれないが、50歳を超えると健康の悩みは効果的。
(相手の年齢をSNSで調べよう・・・)

4.ソン・トク
人は損得勘定で生きている。
特に、人は「得」の感情よりも「損」の感情により多く心を動かす。
結論、「正直にデメリットを伝えることで信頼を得られる。」
(当たり前)

5.みんな一緒
所属している、もしくは所属したいカテゴリーの共感を得る文章を書く。
つまり、「あの子も使ってるよ。」「もうみんなやってるよ。」的な。
(日本人学的な)

6.認められたい
結論、文章に「はじめてでした!」「(価値観などが)変わりました!」と文章に忍び込ませよ。
さすれば、相手の承認欲求が満たされるだろう!
(こすい)

7.あなただけ
あなただけ特別という、特別感を煽る。
(あるある)

逆に、この辺りに全然ピンとこないって方は、本書をおすすめする。

第4章

読む気を失って斜め読み。

表題だけ上げておく。
「文章を書く5つのテクニック」
・書き出しはポジティブに
・なんども繰り返す
・話しかけるように書く
・上げて下げて、また上げる
・追伸をつける

まとめ

あっという間に読めたが、やはりこういう本は卒業しておくべきだった。

ちなみに、このあたりの内容って全部欧米の著名な心理学の焼き直し。
一つ一つの心理学書は分厚くて内容が難しい物もあるのでこうやってかいつまんで優しく解説してくれるのはありがたい人もいるかもしれない。

おそらく、マーケターのバイブル「影響力の武器」や「予想どおりに不合理」などの行動経済学の影響を色濃く受けている。
たとえば、「あなただけ」というのは、「希少性の法則」。
「みんな一緒」は「社会的証明」。
などなど。

本当に営業さんやマーケターが読むとしたら上記バイブルであって、本書では無いと思う。(上記書籍のほうが200倍勉強になる。)

あと、コールド・リーディングも出てきたかな。
15年位前にコールドリーディングの書籍が何冊も発行されていて、数冊読んだ記憶が・・・。コールド・リーディングってまだ現役なんだ・・・という印象を受けた。
【悪用厳禁】コールドリーディングの手法8つ

カジュアルに文章術について楽しみたいなと思う方にはオススメ。

人を操る禁断の文章術

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「スマホに満足してますか?」UIの大家「増井さん」と一緒に考えよう

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スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学」 (光文社新書)を読んだ。
著者は、UI(ユーザーインターフェース)界隈では、知らない人はいないくらいの大家「増井 俊之」さん。

色々な仕事をなさって来た方だが、最近で一番有名なものは、iPhoneの日本語入力システム(フリック入力)を開発。
その他、携帯電話の予測入力システムなども増井さん謹製。
こう書くと、どれだけたくさんの日本人が増井さんの恩恵に預かっているのかが分かるかと。

業界の方々はご存知のように、WEBアプリにしろネイティブアプリにしろIoTにしろ、ユーザーインターフェースの重要性は日々高まるばかり。
メイン業務はサーバーサイドエンジニアの私も、UI/UX視点を持つことは避けて通れないため、UI関連の書籍は最近良く読んでいるような昨今。

そんな状況下で、UI業界の大家である増井さんの本も読まないわけにはいかない。
ということで、手にとって読んだ。

 

・全体として(総論)

スマホに満足していますか?」というタイトル。
帯には、「みんなジョブズにダマされてる!?」という見出し。

タイトルだけを見ると、「UIの大家が、現在のiPhoneやAndroidのあり方に対し辛口批評を展開する」。
と思えるのだが、、、そういう批評本ではなく、至って真面目なユーザーインターフェースの解説本。
(いや、解説よりはエッセイ色が強いかな。)
ジョブズ批判などはほぼでてこない(笑)

タイトルをこう変えてみると、本書の内容が分かりやすいかも。

スマホに満足していますか? どうすれば、更に良いUIなるのか?一緒に考えてみよう

ってな感じ。

ユーザーインターフェースの歴史や理論などの紹介を読みつつ、増井さんのエッセイとともに考えてみよう、という感じです。

本書を通じて「正しいUIはこうだ!こうあるべきだ!」という持論の押し付けではなく、増井さん自身が常にUI研究について悩み続けている姿を垣間見つつ、自分たちが常識だと思っているUIを再考するいい機会を与えてくれる。

 

・各章の内容(各論)

1.心理とデザイン

UIというのは、心理学やデザイン理論と深い関わりがある。
増井さん独自の心理的理論や、著名人が過去に発表してきた有名な心理学・デザイン理論などを紹介しつつUX(ユーザー体験)について考察していく。

例えば、エリオット・アロンソン、キャロル・ダブリスの「自己正当化の圧力」。(なぜあの人はあやまちを認めないのか
「返報性の原理」や「一貫性の原理」を世に知らしめた「影響力の武器」(ロバート・チャルディーニ)との関係性。
など、マーケターやコンサルさんなら一度は読んだことがあるだろうバイブル本が色々と出てきて、懐かしくもありつつ、営業やマーケではなくUI/UXという視点で読み直すとまた面白いかもと思ったり。

これらの心理学の応用として、「他人を味方に付けたいと思った時」どうするのか。
普通なら「その他人に何かをしてあげる」行動をとりがちだが、実はその逆で「その他人に何かを頼む」といいらしい。
なるほどね。

「人間の時間感覚」というのは非常に不確かなものという例では。
PCを使うときに、熟練ユーザーはショートカットキーをかっこ良く多用するだろう。
しかし、アップルの実験によって「常にキーボードショートカットは、マウス利用よりも遅い」ということが判明したそうな。
熟練ユーザーは、「それはありえない、絶対にショートカットキーのほうが速い」と思っているようだが、実際にきちんと計測してみるとやっぱりマウスの方が速いんだそうな。
それほど「人の時間感覚はあてにならない」というお話。

その他、面白い心理学やデザイン理論を淡々と語ってくださって、興味深い事例が盛り沢山。
一つ一つ紹介される参考文献に一度はあたってみたい気になる。

2.開発の発想

人の感覚なんて基本当てにならないものさ。という1章を受けて、どのように「開発」というものをしていくのか。
まずは、「そもそも」論からスタートしようという示唆を与えてくれる。
詳しい説明は割愛するが、要は盲目的に今の常識や目の前にあるものを信じて従うのではなく、ちゃんと本質に立ち返って考えようね、って感じ。

UI界隈では最近よく言われている「ユーザー中心設計」などにも言及。

自動車王ヘンリー・フォードいわく。
何が欲しいか客に聞いたら、もっと早い馬がほしいというだろうね。

ユーザーの意見をもとにした新しいデザインを考えることはできない。
何かを設計する人は、新しいインターフェースやデザインを「発明する能力」が必要であり、ユーザーには設計させるべきではない。
これは一切ユーザー中心設計とは矛盾しない。
「ユーザーについてよく考慮しながら、専門家が設計を行い、それに対してユーザーが意見を言ったり評価実験を行ったりして、それに基づいて専門家が修正をする。」
それが、本当のユーザー中心設計であると。

ユーザー評価・ユーザーテストが叫ばれる昨今において、ユーザーの評価をどこに求め、どのように取り入れるかは非常に重要ってことね。
しかし、ユーザーに新規性あるUIやUXを求めても出てこないので、そこはプロが発明家たれ、と。
(詳しくは本書にて)

3.ウェブ時代のトレンド

ウェブな時代でのユーザーインターフェースのトレンドを紹介。

個人的には、カーム・テクノロジーにピンと来た。
(とは、いうものの知っている人は古くから知っているんだろうけど。私が勉強不足なだけ。)
人間が、能動的に操作しないと使えないデバイスやテクノロジーではなく、「自動ドア」のように意識せずに使えるテクノロジー。
これは、IoT時代においては必須になってくるだろうな〜と。

その他、「メールはそろそろ終わるんじゃね?」的なお話など。

4.ユビキタスな生活

コンピュータ環境は、20年前とずいぶんと変わったにもかかわらず、よくよく考えると進歩したのはWEBブラウザくらいだ、というお話から始まる。

今では死語として扱っている人もいるくらいの「ユビキタス・コンピューティング」という言葉だが。
ここに来て、ユビキタスな時代が一気に加速するかもしれない。

個人的には、「実世界指向インターフェース」というワードが記憶に残った。
「レシートに印刷された金額を、コンピュータにコピペ出来ない。」
しかし、この実世界とコンピュータの間を媒介するインターフェースの研究が今盛んに行われている。

コクヨさんの「CamiApp S」とかがそれに近いのかな。
紙のノートにペンで書いた内容を、コンピュータやスマホに保存したりアップロードしたりできるってやつ。
コクヨ CamiApp S

こういう実世界指向インターフェースを取り入れた製品などは今後増えてくるのだろうな。

5.楽々情報整理

「情報整理術」というのは、以前から人気の書籍ジャンル。
デジタルデータにしろ、紙やファイルといったアナログな媒体など、整理する方法論は語られて消えていく。
これらの情報整理術に関して、先ほどの「そもそも論」から出発して、新しいアイデアで解決できないだろうか、と模索。

6.安全と秘密

この情報社会の昨今。
パスワードの管理って、非常に面倒な悩みの種。
パスワード認証というシステムを根本から変えることはできないのか?
仮に根本から変わるのに時間が掛かるとしたら、今の認証をベースとしつつももっと人間に易しいパスワード管理方法はないのだろうか?

このテーマは、人類の「恋愛」と「ダイエット」並に重要かつ永遠のテーマとなりそうな気はしていたが、もしかしたらもっと便利な方法が考案されるかも?と可能性を感じることはできた。

まとめ

本書全体を通じて、UIの技術書でも教科書でもなく、エッセイ的な感じでとても読みやすい。
けれども、まったく業界と関係のない一般の方が読んだら色々と分からない言葉や表現も多いかもしれないかな。
逆に、業界人は一読をオススメはしたい。
サラッと読めるし。

コチコチに固まった固定観念をマッサージして凝りをほぐすのに丁度良いのではないかと思います。

スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学

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「絵で見て分かるIoT/センサの仕組みと活用」が分かり易いかも

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ここ最近(1年以上)、IoTについての調べたり電子工作したりと、本業(WEB系ソフトウェア開発)の傍らでIoTな活動もやってるので、IoT系の書籍がでたら基本的にはできるだけ片っ端から読むようにしている。
ということで、今回は、「絵で見て分かるIoT/センサの仕組みと活用 (著)NTTデータ」を読んだので、忘れないうちに感想を。

前回、「サルでもわかるIoT入門」っていう記事を書いたように、”IoT”って話が色々と多岐にわたっていて「一言で説明」するのが結構難しい。
そんな中で、本書は「エンジニアリング」の視点で非常に包括的で、良くまとまっていたと思う。

視点がエンジニア側になっているが、著者がNTTデータさんですから、当然ですな。
なので、「ビジネス視点」は、ほとんど無いけれども、これはこれで思い切ってエンジニアにフォーカスしてしまった「IoTの総論」としては非常に上手くまとめたなーという印象。

ただ、本書のターゲットは、あくまでも「IoT」を開発プロジェクトとして受託していこうと考えているSIerの経営者・SEさん・プロマネさんなのかな。
(「サービスアイデア」の出し方とか、考え方など、さっきも言ったように「ビジネス視点」「アイデア視点」では書かれていない。)
あくまでも「IoTの全体像」を「エンジニアリングの視点」で「俯瞰している」構成。

おそらく、本書ターゲットユーザー(読者)さんにとっては、知りたかった内容が全部載っているとても役に立つ良書になると思う。

IoTや電子工作に詳しいエンジニアが読んだら、かなり薄い内容に感じるとは思うけど(^^;

とまぁ、本書の全体の印象は、この程度にして。
自分の記憶のアウトプット作業のために、各章をまとめておくきたい。

 

1章:IoTの基礎知識

やはり、本書も第一章からいきなりIoTに関する個々の説明に入らずに、「まずは全体像の俯瞰」をしている。
(たとえ、IoTをエンジニアリングの視点だけで切り取ったとしても多岐に渡るから重要だよね。)
IoTは、①デバイス(センサ)②ネットーワーク③IoTサービス④データ分析という構成要素を持っている。
(なるほど・・・、大規模IoTサービス開発をメインテーマとして話が進んでいくんだろうな〜という「かをり」がする。)

 

2章:IoTのアーキテクチャー

IoTのサービス全体を支えるアーキテクチャーを解説。
デバイス・サーバー・分析処理などに使う実際のアーキテクチャーをまずはサラッと解説。

サーバープロトコルとしてはHTTPよりもMQTTを詳しく解説していたので、おそらくNTTデータさんはMQTT推しなのではないかと。
あと、データベースに関しても、リレーショナルDB・KVS・ドキュメント指向DB(MongoDB)など同じ分量で解説。
(でも、実は、MongoDBが結構気に入ってるんじゃないのかな?と読めたけど、笑)
ちなみに、Apache Hadoopは、知っていたけど、Apache StormやApache Sparkは知らなかった。
たしかに、大規模なIoTサービスになってくると、これらの大規模データ処理技術は必要なんだろうと参考になった。
(個々の細かい技術は、もちろん本書を最後まで読んでも載っていない。)

 

3章:IoTデバイス

いよいよ各論が始まる。

まずは、IoTの末端となる「デバイス」から解説。
プロトタイピング(試作機)用として、汎用マイコンボード(Arduinoなど)やシングルボードコンピュータ(Rasberry pi・intel Edisonなど)の概要説明。

また、様々なセンサの種類(光センサ・加速度センサ・距離センサ・温度センサ)を挙げつつ、各センサの仕組みを非常に平易に解説。

たとえば、赤外線距離センサは、赤外線を照射し、反射してきた光の入射角(角度)で距離を測っている、など。
(知っている人には当たり前だけど、知らない人や文系人間でも「なるほど!」と理解できる。)

また、センサが出力したアナログ信号を、増幅回路が信号を増幅し、マイコンボード上でアナログ・デジタル変換が行われ、最後に「数値化」される仕組みもわかりやすく解説されていて、ハードウェアに詳しくないWEB系エンジニアなどもセンサーの仕組みが容易に理解できるようになっている。

 

4章:高度なセンシング技術

3章では、距離センサとか温度センサなど比較的原始的なセンサーについての基礎解説だったけど。
ここでは、非常に高度なセンサ、たとえばRGB-DセンサやKinectセンサやLeap motionなどが解説されている。
特に、画像の距離認識については少々詳しく解説。

ちなみに、初めて知ったのだが、KinectやLeap Motionのような、人間のジェスチャーや音声などをユーザーインターフェースとすることを「NUI」というらしい。

確かに、IoTでは、「GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)」はあまり用いられないので、「GUI」の「G」をとって「UI(ユーザー・インターフェース)」と呼んでいたけど、「NUI(ナチュラル・ユーザー・インターフェース)」は結構使いやすい言葉。
(今後、ドヤ顔で「NUI」という言葉を使っていく。)

その他、皆さんがカーナビやGoogleマップなどでお世話になる「GPS」の位置情報の算出の仕組み。
これは、人工衛星と計算式の関係が解説されてて、雑学としても普通に楽しめる内容。
(知り合いが以前、「4基の人工衛星の電波を受信できたら自分の正確な位置がわかるんですけどねー」と言っていて、「なんのこっちゃ」と思っていたが、今なら対等に闘える)

 

5章:IoTサービスのシステム開発

この章こそが大手システム屋のNTTデータさんならでは。

デバイスからサーバーサイドまで、IoTシステムの「開発フロー」を解説。
IoTシステムの開発フローの総論をざっと俯瞰したところで、実際にNTTデータさんが開発したIoTサービスの事例を紐解く。
実際のサービス設計やサーバー設計など、浅すぎず深すぎず解説。
(個人的には、浅いと思ったけど、あまり深堀りすると本書のターゲットユーザーが変わってしまうだろう。)

「実際の開発・導入事例」を引き合いに開発・設計・保守・セキュリティーについて語られると説得力がある。

 

6章:IoTとデータ分析

IoTとビックデータ解析の話は切っても切り離せないよね。
センサを使って無数のデータを収集しても、そのデータを貯めたままだったら「デジタルゴミ」ですから(笑)
その無数のデータを分析するからこそ、非常に価値ある情報や体験が得られる。

データ分析の種類は大きく分けて3つ。
可視化 ②発見 ③予測

・可視化 : 収集データをグラフ化したりして「見える化」することで人がデータを認識できるようにすること。
・発見 : 収集データを統計解析・機械学習によって、人の目ではわからない傾向などをあぶり出す。
・予測 : 発見からさらに発展して、収集データから「未来を予測」する。

①の可視化は、エクセルの表計算のような円グラフや棒グラフなどで容易に想像がつく。
②③は高度な分析になるので、それらの分析手法について「概要」を解説。
(Jubatusという機械学習フレームワークは知らなかった・・・)

 

7章:IoTとウェアラブルデバイス

個人的には、一番退屈な章だったかな〜。

「ウェアラブルデバイスといえば?」と聞かれて。
Google GlassとかApple Watchとか、キックスターターで有名になったRingなどが思いつく人にとっては読む必要が無いかもしれない章。
逆に、それらのことをよく知らない人にとっては、「概略説明」ということで意味があるのだろうと思う。

 

8章:IoTとロボット

この書籍の中で、一番ページ数の少ない章。
だけれども、個人的には一番アツかった。

ロボットは、非常に多くの様々なセンサー(画像認識・音声認識・加速度・光・温湿度などなど)を備えていて、
それらのセンサー情報を蓄積し、分析して、アクションを起こす。

さらに、ソフトバンクのPepperに代表されるように、ロボットが集めたデータを中央サーバーで機械学習させ、自律的にどんどん賢くなって行く。
まさに、IoTの集大成というところかもしれない。

しかも、今では、ロボット開発用のオープンプラットフォームが幾つかあるらしい。(知らなかった)
誤解を恐れずにいうと、「まるでWeb開発のフレームワークやAPI」のように共通メソッドで、形状の異なるロボットを動作させることができるわけ。
共通の「前進メソッド」を実行すると、車輪型ロボット(お掃除ロボのルンバとか)は、車輪を回転させて前進するし、二足歩行ロボットは、同じ命令で二足歩行で前進するわけだねー。

こりゃもう確信せざるを得ない、ロボットをDIYする日もかなり近い。
(Robi君とは違う^^;)

おそらく、5年以内に「はじめてのロボットプログラミング入門」「10日できるロボット開発」なんていう書籍が本屋に並ぶな〜。

 

まとめ

最近、IoT系のネタを書くと、最後はいかがわしい終末論者か、オカルトライターみたいになってしまうのが悩みの種。
(シンギュラリティー信奉者じゃないけど^^;)

ただ、この本は、エンジニアの皆様はよくご存知「株式会社 NTTデータ」という大手SIさんの著書なんで、オカルトでも何でもないのでご安心を。

個人的には、一番のメインターゲットは、まだIoT開発実績がない中堅SIerのSEさんやプロマネさんあたりだと思うので、そういった方々が読むと「IoT開発の全体像」を掴めて今後の仕事の参考にもなるのではないかと思う。

どちらにしろ、IoTのエンジニアリングについて初心者にもわかりやすく解説してくださっているのは確かなので、IoTに興味がある幅広いIT関係者さんたちにとって読みやすい書籍だと思います。

絵で見て分かるIoT/センサの仕組みと活用 (著)NTTデータ

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